ランニングにおける体重と風の影響について
◆はじめに
先日、河川敷を走っていて、体重のある人と体重のない人、どちらの方が風圧の影響が少ないのかと疑問に思った。
直感的には、体重の軽い人の方が、風圧の影響が大きいと思ったが、もう少し理論的に検討してみようと考えたので、その検討記録を残す。
◆検討の概要
まず無風で等速運動をしているときの力について、
等速運動なので進行方向に働く力(人間の出力)と、信仰方向と反対方向に働く抵抗力が釣り合うとする。
つまり、以下のとおりと考える。
Fman = Frun(v,m)+Fwind(v,S)
Fmanは人間が出力する力、Frunは地面からの抵抗力、Fwindはランニング速度によって生じる、風の抵抗力である。
地面からの抵抗力は運動速度と体重に依存していると想定されるので、v,mの関数とする。
風の力は粘性抵抗なので速度vに、また風を受ける面積Sに依存すると考える。
次に、風が吹いているときの力について以下のとおりと考える。
Fman = F'run(v',m)+Fwind(v'+vwind,S)
速度が変わっているので、速度をv'とし風速をvwindとする。
また、風速は向かい風で+になるようにしている。
人間が出力する力は、風の有無に変わらないと考えられるので、Fmanは等しい。
したがって以下の等式が成立する。
Frun(v,m)+Fwind(v,S) = F'run(v',m)+Fwind(v'+vwind,S)
この式からもともと速度vで走っている人が向かい風vwindを受けた時に、速度がv'になるということがわかる。
◆実際の計算
ここからはデータがないので怪しい計算になる。
まず、Frun(v,m)であるが、単純化のため線形的と考える。つまり
Frun(v,m) = k×v×m
次に、風速の影響を考える。人間が風を受ける面積であるが、計算の簡略化のため、体重に依存せず、一定とする。
Fwind = k'×(v+vwind)
以上を等式に代入する
k×v×m + k'×v = k×v'×m + k'×(v'+vwind)
この式を展開し
v' = v - (k'×vwind) / (k×m+k')
この時点で、体重が無限に重いならば風速の影響がない
→体重の重い人の方が風に強い
ということが推測できる。
念のため、いくつかグラフ化する。
KとK'の係数をどの程度にするかが問題である。この比率により、風の影響がどのくらいか見積もることができる。(K'の値が大きければ、風が支配的に、K'の値が小さければ、体重が支配的になる。)しかし、定性的に分かればいいこと、計算が面倒なことからK=1、K'=10としておく。
風の強さとして弱風5m/s、強風10m/sを与える。
運動の速度として上級者15m/s、初心者10m/sを与える。
この場合の体重依存性をグラフ化する。
体重が重いほど速度が変わっていない様子がわかる。
◆最後に
直感的に考えたことが、数式的にも正しそうでよかった。
ただし、かなり適当なモデルを構築したところは課題。
いいデータがあったら修正するか。