史上最強の哲学入門 飲茶(その2)
◆はじめに
この記事は史上最強の哲学入門の続き記事です。
国家の真理について記述します。
真理の探究についての記事はこちら。
東洋哲学編はこちら
◆国家の真理
ギリシアでは直接民主主義が実現されていた。このように書くと先進的なイメージを持つかもしれないが、当時のギリシアでは衆愚政治がひどかったといわれている。現代人がメディアに先導されるように、ソフィストの言葉で民は先導されていたのである。
プラトンは主著「国家」の中で、理想国家とはどのようなものであるかを提案している。
理想国家に必要な条件は以下のとおり
・男女平等
・女性・子供の共有
・哲人王による統治
現代でも通用する思想である。当時のアテナイでは先進的すぎる発想だったであろう。
アリストテレスはどのような政治形態があるか、さらには腐敗するとどうなるかを整理している。
・一人の場合、成功:君主制 失敗:独裁政治
・少数の場合、成功:貴族制 失敗:寡頭制
・多数の場合、成功:民主政治 失敗:衆愚政治
腐敗した場合、クーデターが起きると予想し、実際どうなったかは歴史が証明するところである。
■近代 社会契約説
近代になり、従来のキリスト教の統治から、絶対君主による統治へと変化するようになってきた。すると、改めて次のような議論が出てくる。「そもそも国家にはなぜ支配者が必要なのだろうか」と。このようなテーマに対し、近代の偉人が2人。ホッブズとルソーである。
ホッブズは国家のない自然状態の人間は野蛮であるため、支配者が必要なのだとしている。そのことを著書「リヴァイアサン」のなかで、万人の万人に対する闘争状態と表現している。どんなに悪性であろうと、国家のもとで過ごすことが幸福なのだと考えている。
ジャンジャックルソーは自然状態の人間は闘争のない状態だとしている。著書「人間不平等起源論」の中で、原始状態の人間は他人に関心がなく、不平等も存在しない世界であったと記述している。ルソーの主な思想は、「真の権力者は王ではなく、民衆である」というものである。
■現代 資本主義と共産主義
時は流れて現代。工業化が進み、世界のあり方も変わってきた。国家の体制として、どのような政治体制がよいかということのみならず、どのような経済体制をとるべきかも問題になってきた。経済体制のありかたとして、資本主義と共産主義があげられる。
資本主義は自由に競争させて、適者生存していきましょうという方法。メリットは各所各所で最適化が図られているということ。デメリットは格差が広がりやすいということ。また、現代では、欲望もないのに意味のない開発をするということがある(ファジーエアコンなど)欲がないから、開発をやめますとなると多くの失業者がでてしまう。もはや資本主義を維持するために、資本主義を行っているという側面を否定できないのである。
一方、共産主義はみな平等で、計画的に生産していきましょうという方法。国が絶対的な権力を持っているがゆえに、大きな政策を打ちやすい(ソ連のロケット開発など)というメリットがある。一方、マイクロマネジメントができず、無駄の多い社会になりやすい。その他のデメリットとして、掲げた平等がウソであったことや、モチベーションが上がらないという問題がある。
アダムスミスは主著「国富論」の中で自由競争の必要性を説いた。
彼の革新的なところは、利益追求はいやしい行為であるという価値観であった世界に異論を唱えたところにある。また、自由競争により国家が破たんするのではないかという問いに対し、「見えざる手」によって納まるべきところに納まるとした。
カールマルクスは資本主義は新しい階層制度を生み出しており、いずれ破たんする制度であるとした。つまり、資本家(ブルジョワジー)と労働者(プロレタリアート)に分かれており、いずれ労働者による革命が起きると予想した。そこで、資本主義に代わるシステムとして共産主義を提案したのである。
◆まとめ
国家の話をまとめた。国家のあるべき姿について昔から議論されていた。一方現代日本の政治制度はどうであろうか。政治について、アリストテレスの言うように、同じ制度でも腐敗に移行していないだろうか。また、経済について、資本主義に限界は来ていないだろうか(先に共産主義の限界が来てしまったが)。改めて物事を考えてもいいかもしれない。