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史上最強の哲学入門 飲茶(その4)

◆はじめに
 この記事は史上最強の哲学入門、存在の真理編です。
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◆存在の真理
 ・古代
   万物流転説と万物不変説、そして原子論
   古代ギリシアからものは何なのだろうかという疑問はあった。
   
   ヘラクレイトスは万物流転説を唱えた。
   有名な言葉に「(河の話)」がある。
   この時点で、ものが移り変わるということをとらえていたのである。
 
   一方、パルメニデスは万物不変説を唱えた
   例えばリンゴはどこまで細かくしてもリンゴであり、メロンになることはない。 
   このように、万物を細かくしてもものは変わらないということを考えていた。
 
   両者の話を受け、デモクリトスは原子論を唱えた。
   確かに原子レベルで見れば、万物は不変である。
   しかし、結合や原子の移動などを考えると、万物は流転しているともいえる。
   古代ギリシアの時点で原子という考えが生じていたのである。   
 
   ちなみにこれは典型的な弁証法の活用例である。
   万物流転説というテーゼに対し、万物普遍説というアンチテーゼ
   両者を立てるより良い説、原子論というジンテーゼ
 
 
 ・近代
   近代になると、キリスト教の価値観が終わり、科学を通じて、世界観が新しくなる。
   近代の物理学者のニュートン万有引力の法則を発見した。
   この法則のすごいところは、「リンゴが落ちた」というてところではなく、
   万有引力の法則を活用して、月が落ちない理由などを考察した点である。
   また、当時の最新の学問であった微分法を利用して、あらゆる物体の運動を予測することが可能になった。
   つまり、あらゆる存在が同じ法則にしたがっていることを発見したのである。
 
   しかしながら、存在とは何かということには踏み込んでいない。
   存在とは何かに踏み込んだのがバークリーである。
   彼の主張は「我々が認知するから物体は存在する」という説である。
   我々が存在するといっているのも、脳みそに電極を埋め込んでいるだけなのかもしれないのではないかというのである。
   このようは大胆な発想に答えることができなかった。
 
   バークリーが爆弾を投じてから、時は流れ20世紀。
   偉大な哲学者が現れる。フッサールである。
   フッサールはバークリーが立てた問題に対し、このように答える。
   「そんなことを考えても無駄だ」
   物理学者たちはこういう。
   「すると科学法則が壊れてしまいます」
   それに対してフッサールは言う
   「一向に構わん!!」
   問題が問題であれば、回答も回答である。
   何はともあれ存在というものは我々が規定しているものであると考えるのが今の主流であるといえる。
 
   また、別の観点から存在とは何かを明らかにしようとした哲学者がいる。ハイデガーである。
   ハイデガーはそもそも存在とは何かを議論する前に存在を定義している人間について知るべきだとしている。
   彼の存在論は「存在と時間」という著作の中に書かれているが、未完であり、彼の思想が如何なものであったか知る由もない。
 
◆感想
  この手の本は箇条書きになりがちで、それぞれの項目間のつながりが浅いのが多いのですが、本書は話の途中に背景知識の説明があり、なるほどと思わせてくれる。
  また、ユーモアにあふれた文章であり、非常に笑える。東洋の哲人たちも面白かったが、本書も変わらず面白い。