饗宴 プラトン
◆はじめに
饗宴は哲学書であると同時に、文学書としても面白い本である。
プラトンだからといった食わず嫌いをせずに読んでほしい。
◆概要
プラトンの中期対話篇である。
テーマは恋愛について。
◆要約
詩人であるアガトンがコンクールで受賞したことを祝い、饗宴を行う。
饗宴での話題として、エロースを讃える話をすることになる。
以下の6人の登場人物がそれぞれエロースを讃える。
・パイドロスの話
エロースはもっとも古い神である。
善の源泉であり、徳と幸福を得るのに必要な力を持っている。
・パウサニアスの話
エロースには2種類ある。
相手を選ばない(=肉体を求める)エロースと相手を選ぶ(=魂を求める)エロースである。前者をパンデーモス、後者をウーラニアーと呼ぶ。
讃えるべきは善き魂を求める、後者のウーラニアーである。
・エリュクシマコスの話
パウサニアスの2種類のエロースの話に同意し、補足を行う。
そのうえ、パンデーモスは不和を、ウーラニアーは調和をもたらす。
また、エロースは人間の内のみならず、医術や体育術などあらゆるものにかかわっている。
・アリストパネスの話
エロースの起源について話をする。
もともと人間は頭2つ、腕4つ、脚4つでとても賢く、運動能力にも優れていた。
しかしながら、ゼウスの怒りを買い、人間は2つに引き裂かれてしまった。それ以降、人間は片割れを探し求めている。
今でも言われている話ですね。欠けたものを求めているという説は。
・アガトンの話
エロースはもっとも美しく高貴である。
また、正義の徳、慎みの徳など、あらゆる徳を備えているという。
彼女に触れられたら、だれもが詩人になってしまう。
すごい誉め方ですね。聞いている側が恥ずかしいくらい
・ソクラテスの話
最後に主役、ソクラテスの話が始まる。
ソクラテスは自分の説を話す前に以下のような前置きをしておく。
「君たちはエロースについてあることないこと美辞麗句を並べ立てているよ。」
「僕は、エロースについて、真実しか話すつもりはないけどそれでいいかい?」
さらに、巫女のディオティマから聞いた話をする。
「恋とはよきものを求める欲望である。」
「肉体は入り口であり、その次に内面の美を求めるようになる」
ここで、内面の美しさに触れるのですね。
ただし、所謂プラトニックラブの話はしていません。
◆補足
当時のギリシアでは少年愛がよくおこなわれており、饗宴でも少年愛の話をしていると思われる。
少年愛はいわゆる恋愛というものではなく、大人が少年を教育するという側面があり、大人の男同士が付き合っているのは非難されていた。
◆一言
恋愛って2400年前でも重要なテーマだったんです。
現代で恋愛している人は、恋愛の起源とか考えたことがあるのかな?