嫌われる勇気 岸見一郎
◆はじめに
個人的には、ビジネス書を嫌悪している。
なぜなら、当たり前のことを偉そうな書きっぷりで書いているからだ。
○○会社のCEOとか、そのような肩書に頼っている点も嫌いだ。
本書については、意外な観点だし、アドラー心理学という微妙な切り口から物事を議論しており、斬新な本だと思う。
本書をアドラー心理学として鵜呑みにするのは厳しいし不正確と思うが、この本を読んで人生さまざまな見方があることを認知できたり、生きるのが楽になれば、思うので紹介する。
◆概要
2013年に書かれた本。2015年にはビジネス書のベストセラーになる。
老人と青年の対話形式で生き方についての話が展開される。
◆ポイント
ポイントは以下の4点
・人は主観的な世界に生きている
・人生にはタスクがある。
・課題を分離する
・自己受容する。
それぞれを見ていきましょう。
・人は主観的な世界に生きている
人は自分の主観的なレンズを通してしか世界を認知できない。
18℃の水も夏場なら冷たいと感じるが、冬場ならぬるいと感じるだろう。
この考えを拡張してみる。
例えば引きこもりは、親のせいとか、教育が悪いという意見もあるが、基本的には本人が願って引きこもりをしていると考えられる。
なぜ本人が引きこもりを願うかというと、引きこもりなら周りの人が大切にしてくれる。社会にでて自分が傷つかないでいい。これらの感情があるためである。
(実際は、さまざまなケースがあるので、一元化してしまうのは問題ですが)
つまり、我々はどのようにしたいか、なりたいか、主体的に決定することができるのである。
・人生にはタスクがある
人生には以下のタスクがある
仕事のタスク:仕事上の人間関係の構築と維持
交友のタスク:友人関係の構築と維持
恋愛のタスク:恋愛関係、親子関係の構築と維持
上のタスクほど、目的が一致しており、関係の構築が容易である。
以上のタスクから目をそらすことは「人生の嘘」といえる
人生の嘘にすがるのは悪ではなく、勇気がないだけ。
勇気をもって、人生のタスクに取り組むべきである。
・課題を分離する。
承認欲求を否定しましょう。そのうえで他人の問題に介入しないこと、自分の問題に他人を介入させないようにしましょう。
前者は子供に勉強させようとしないことが一例である。子供が勉強をしたいと思っている場合には良いが、無理やり勉強させようとするのは問題である。
「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない」
後者は上司に腹を立てることが一例である。上司の指示が悪いなど。上司の指示に従ったのは本人の意志であり、上司のせいにするのは嘘である。
このように、あらゆることに対し、自分の問題か考えるようにしよう。
・自己受容する
共同体感覚をもつこと。共同体感覚とは、自己の存在を無条件に肯定すること。他人を仲間とみなすこと。契約的な愛ではなく、無償の愛を提供すること。他者からの承認を求めるのではなく、他者への貢献を意識しましょう。
また、自己肯定はNo Goodである。自己肯定とは「テスト60点か。私の実力なら100点のはずだ」というようなもの。いわば自己欺瞞のようなものである。「俺は本気を出していないだけ」というのはやめましょう
一方自己受容とは「テスト60点か。これが私の実力だ。どうすれば100点になるだろうか。」と認知するもの。力がなくても、自分のことを認めてあげましょう。
◆最後に
本書は対話篇で読みやすく書かれている。
この本を読んで、実践してみて、生きることが楽になる人がいればと思います。