ランニングにおける体重と風の影響について2
◆はじめに
本記事は、前回の続きです。
実用性の観点からもう少し考えてみます。
◆前回からの追加事項
前回は向かい風の中で走ったとき体重が重い人と軽い人どっちが有利なの?という疑問に答えました。
今回は追い風の場合を検討します。
また、風の吹く中、川沿いの道を往復するという考えでどちらが有利か検討します。
◆追い風の場合
前回の検討から、もともと速度vで走っている人に、風速vwindの向かい風が吹いているとき、速度は減速しv'になるとした。v'の値は以下のとおり。
v' = v - (k'×vwind) / (k×m+k')
さて、これは向かい風を正に取っただけなので、追い風の場合vwindを負に取ればよい。
前回同様に、風の強さとして弱風5m/s、強風10m/sを与える。
運動の速度として上級者15m/s、初心者10m/sを与える。
この場合の体重依存性をグラフ化する。
今度は逆に軽い人の方が速度が出ている。
以上の話をまとめると、向かい風は体重が重い人有利で、追い風は軽い人有利ということになる。全体としては、有利不利がなさそうに思える。
◆ケーススタディ(河川敷を往復する。)
本当に有利不利がないか河川敷を往復するケースを考えよう。
条件として、体重80kgで15km/hで走れるランナーと体重60kgで15km/hで走れるランナーを比較する。
河川敷の距離は片道5km、風速は10m/sとする。
体重80kgの人は、向かい風のとき13.89km/hで走り、追い風の時16.11km/hで走る。
従って、向かい風の5kmを走るのにかかる時間は
5km ÷ 13.89 km/h ≒ 0.360 h = 21分36秒
追い風の5kmを走るのにかかる時間は
5km ÷ 16.11 km/h ≒ 0.310h = 18分37秒
10㎞の往復にかかる時間は 40分13秒 である。
体重60kgの人は、向かい風のとき13.57km/hで走り、追い風の時16.43km/hで走る。
従って、向かい風の5kmを走るのにかかる時間は
5km ÷ 13.57 km/h ≒ 0.368 h = 22分6秒
追い風の5kmを走るのにかかる時間は
5km ÷ 16.43 km/h ≒ 0.304h = 18分15秒
10㎞の往復にかかる時間は 40分21秒 である。
以上の結果から、若干ながらも体重の重い人の方が有利であることがわかる。
ちなみに無風であれば、
10km ÷ 15km/h = 0.666666h = 40分
である。
(風の有無で20秒しか差が発生しないとは。k'の値が小さすぎたかもしれない。)
◆なぜこうなったのか。直感的な理解
体重の重い人の方が速度の変化が少ない。
したがって安定して走ることができたと考える。。
極論、10km/hで走る人が、追い風で20km/h、向かい風で0km/hで走ることになったら、いつまでたってもゴールできないことがわかるだろう。
◆最後に
計算のもととしている数式がでたらめなので参考程度に。
ただし、直感と一致しているのはちょっぴりうれしい。
宇宙食について
◆はじめに
宇宙開発が近年進んでいます。
また、月面に人類が到達してから50年、現在も有人飛行は継続的に行われています。
クルーの職場環境において唯一の娯楽ともいえる宇宙食。
ここでは宇宙食の歴史などをまとめます。
◆宇宙食の歴史
宇宙食の歴史は以下のとおりです
1962年:ペースト時代
1963年~:ジェミニ号が打ち上げられていた時代。
ドライフードが食べられるようになる。
1969年~:月面着陸で有名なアポロ号が打ち上げられていた時代。
お湯で戻す食品が食べられるようになる。
1973年~:スカイラブの時代
フリーズドライや缶詰が食べられるようになる
現在:地上と同じような食事が食べられるようになる。
◆エピソード
面白い話を3つ上げる。
・ジョンヤングさんのサンドイッチ持ち込み事件
宇宙滞在が長期にわたり、食事の不満が高まっていた。
ジョンヤングさんはコンビーフサンドイッチをこっそり船内に持ち込むもばれてしまう。
衛生面の問題もあり、当然禁止事項であったが、ヤングさんは食事はクルーの士気にかかわる重要な問題と主張。この主張は認められ、宇宙食の開発が進むこととなった。
問題児こそ発展のきっかけになるいい例ですね。
・日本食の人気
宇宙飛行士には、自分の好きなものをもっていくことが認められており、野口さんも好物を持ち込んでいた。
しかし、周りのクルーは若田さんの置き土産と勘違いし、野口さんの食糧を食べてしまう。それくらい日本食は人気らしい。
ニシンのパイだったら食べられていなかったのではないか。
あたしこのパイ嫌いなのよね。
◆宇宙食の条件
宇宙食にはいくつか条件があるが、意外だった点があったので記述する。
・液体はOK
液体は張力により、スプーンなどに張り付くことができる。
したがって、液体状の食べ物は問題なく食べられる。
つかむことができないから問題かと思っていました。
・粉もの
粉ものが機器に入り込むと故障の原因になるのでダメ。
これは分かるが、塩やこしょうなどの調味料はどうしているのか。
答えは液体化である。前述のとおり液体はOKなので、液体状にして、飛び散らないようにしている。
・匂いの出るもの
当然、密閉空間だし、脱臭装置の性能にも限界があるので。
納豆はダメ。しかし、味噌はいいらしい。
以上が条件である。
実際の宇宙食は以下のリンクで購入可能である。
https://www.unibo.jp/products/list.php?category_id=10
◆最後に
調べてみると、普通の食事をしていることがわかりました。
美味しい食事で、英気を養ってもらいたいものです。
饗宴 プラトン
◆はじめに
饗宴は哲学書であると同時に、文学書としても面白い本である。
プラトンだからといった食わず嫌いをせずに読んでほしい。
◆概要
プラトンの中期対話篇である。
テーマは恋愛について。
◆要約
詩人であるアガトンがコンクールで受賞したことを祝い、饗宴を行う。
饗宴での話題として、エロースを讃える話をすることになる。
以下の6人の登場人物がそれぞれエロースを讃える。
・パイドロスの話
エロースはもっとも古い神である。
善の源泉であり、徳と幸福を得るのに必要な力を持っている。
・パウサニアスの話
エロースには2種類ある。
相手を選ばない(=肉体を求める)エロースと相手を選ぶ(=魂を求める)エロースである。前者をパンデーモス、後者をウーラニアーと呼ぶ。
讃えるべきは善き魂を求める、後者のウーラニアーである。
・エリュクシマコスの話
パウサニアスの2種類のエロースの話に同意し、補足を行う。
そのうえ、パンデーモスは不和を、ウーラニアーは調和をもたらす。
また、エロースは人間の内のみならず、医術や体育術などあらゆるものにかかわっている。
・アリストパネスの話
エロースの起源について話をする。
もともと人間は頭2つ、腕4つ、脚4つでとても賢く、運動能力にも優れていた。
しかしながら、ゼウスの怒りを買い、人間は2つに引き裂かれてしまった。それ以降、人間は片割れを探し求めている。
今でも言われている話ですね。欠けたものを求めているという説は。
・アガトンの話
エロースはもっとも美しく高貴である。
また、正義の徳、慎みの徳など、あらゆる徳を備えているという。
彼女に触れられたら、だれもが詩人になってしまう。
すごい誉め方ですね。聞いている側が恥ずかしいくらい
・ソクラテスの話
最後に主役、ソクラテスの話が始まる。
ソクラテスは自分の説を話す前に以下のような前置きをしておく。
「君たちはエロースについてあることないこと美辞麗句を並べ立てているよ。」
「僕は、エロースについて、真実しか話すつもりはないけどそれでいいかい?」
さらに、巫女のディオティマから聞いた話をする。
「恋とはよきものを求める欲望である。」
「肉体は入り口であり、その次に内面の美を求めるようになる」
ここで、内面の美しさに触れるのですね。
ただし、所謂プラトニックラブの話はしていません。
◆補足
当時のギリシアでは少年愛がよくおこなわれており、饗宴でも少年愛の話をしていると思われる。
少年愛はいわゆる恋愛というものではなく、大人が少年を教育するという側面があり、大人の男同士が付き合っているのは非難されていた。
◆一言
恋愛って2400年前でも重要なテーマだったんです。
現代で恋愛している人は、恋愛の起源とか考えたことがあるのかな?
ランニングにおける体重と風の影響について
◆はじめに
先日、河川敷を走っていて、体重のある人と体重のない人、どちらの方が風圧の影響が少ないのかと疑問に思った。
直感的には、体重の軽い人の方が、風圧の影響が大きいと思ったが、もう少し理論的に検討してみようと考えたので、その検討記録を残す。
◆検討の概要
まず無風で等速運動をしているときの力について、
等速運動なので進行方向に働く力(人間の出力)と、信仰方向と反対方向に働く抵抗力が釣り合うとする。
つまり、以下のとおりと考える。
Fman = Frun(v,m)+Fwind(v,S)
Fmanは人間が出力する力、Frunは地面からの抵抗力、Fwindはランニング速度によって生じる、風の抵抗力である。
地面からの抵抗力は運動速度と体重に依存していると想定されるので、v,mの関数とする。
風の力は粘性抵抗なので速度vに、また風を受ける面積Sに依存すると考える。
次に、風が吹いているときの力について以下のとおりと考える。
Fman = F'run(v',m)+Fwind(v'+vwind,S)
速度が変わっているので、速度をv'とし風速をvwindとする。
また、風速は向かい風で+になるようにしている。
人間が出力する力は、風の有無に変わらないと考えられるので、Fmanは等しい。
したがって以下の等式が成立する。
Frun(v,m)+Fwind(v,S) = F'run(v',m)+Fwind(v'+vwind,S)
この式からもともと速度vで走っている人が向かい風vwindを受けた時に、速度がv'になるということがわかる。
◆実際の計算
ここからはデータがないので怪しい計算になる。
まず、Frun(v,m)であるが、単純化のため線形的と考える。つまり
Frun(v,m) = k×v×m
次に、風速の影響を考える。人間が風を受ける面積であるが、計算の簡略化のため、体重に依存せず、一定とする。
Fwind = k'×(v+vwind)
以上を等式に代入する
k×v×m + k'×v = k×v'×m + k'×(v'+vwind)
この式を展開し
v' = v - (k'×vwind) / (k×m+k')
この時点で、体重が無限に重いならば風速の影響がない
→体重の重い人の方が風に強い
ということが推測できる。
念のため、いくつかグラフ化する。
KとK'の係数をどの程度にするかが問題である。この比率により、風の影響がどのくらいか見積もることができる。(K'の値が大きければ、風が支配的に、K'の値が小さければ、体重が支配的になる。)しかし、定性的に分かればいいこと、計算が面倒なことからK=1、K'=10としておく。
風の強さとして弱風5m/s、強風10m/sを与える。
運動の速度として上級者15m/s、初心者10m/sを与える。
この場合の体重依存性をグラフ化する。
体重が重いほど速度が変わっていない様子がわかる。
◆最後に
直感的に考えたことが、数式的にも正しそうでよかった。
ただし、かなり適当なモデルを構築したところは課題。
いいデータがあったら修正するか。
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